【HFNC(ネーザルハイフロー)】適応と効果を解説!

看護News

HFNCの適応や効果を知っていますか?

そもそもHFNCが何かよくわかっていない…

酸素マスクなどと比べると使用頻度は少ないですね。

HFNCについてわかりやすく説明するので、ぜひ参考にしてください。

初心者にもわかりやすくお願いします!

HFNCってなに?

HFNCについて説明していきますね。

呼び方

皆さん、ハイフローセラピー(high flow therapy;HFT)をご存じでしょうか。

HFTは、科学論文では経鼻高流量酸素療法(high flow nasal cannula;HFNC)という呼び方が一般的です。

日本の臨床の現場でもともと登録商標であったネーザルハイフローという呼び方もよく聞きます。

HFNCは、十分に加温加湿された酸素を高流量・高濃度で経鼻的に投与できる治療法といえます。

歴史

HFNCは、2011年に日本に導入されました。

導入されてから10年以上が経過する治療法です。

様々な生理学的効果があり、エビデンスも蓄積されて診療報酬が算定できるようになっています。

2022年4月には在宅ハイフローセラピー指導管理料が算定可能となりました。

気管挿管といった人工呼吸器管理と比較すると、導入・操作が簡便で患者の忍容性も比較的高いです。

急性期だけでなく慢性期、終末期にも使用されています。

エビデンスの蓄積により、急性期だけではなく在宅でも診療報酬が算定できるようになりました。

どんどん広がっているのね。

HFNCの適応は?

HFNCが日本に導入されて10年、エビデンスは集積中の段階です。

ここでは主にHFNCとNPPVを比較して適応をみていきます。

※NPPV(Non Invasive Positive Pressure Ventilation;非侵襲的陽圧換気)

急性期の適応

急性呼吸不全に対してはすでにエビデンスが蓄積されているNPPVがあります。

NPPVにおいて、COPD増悪、拘束性肺疾患の増悪、心原性肺水腫、免疫不全・免疫抑制に伴う呼吸不全は推奨度Aです。

HFNCとすでにエビデンスが蓄積されているNPPVを比較していきましょう。

治療効果に焦点をあてています。

急性Ⅰ型呼吸不全

急性Ⅰ型呼吸不全は、二酸化炭素分圧の上昇がない(PaCO₂≦45mmHg)呼吸不全のことです。

NPPVと比較し、P/F比≦200の重症例に限って優位に挿管率、ICU死亡率、90日死亡率が低かったとするFratらの研究結果があります。

HFNCに優位性があるとする研究結果もありますが、研究によって結果は異なります。

治療効果以外のメリット・デメリットも考慮し、総合的に選択する必要がありますね。

「HFNCの効果」も要チェックね。

急性Ⅱ型呼吸不全

急性Ⅱ型呼吸不全は、二酸化炭素分圧が上昇する(PaCO₂>45mmHg)呼吸不全のことです。

換気の改善(PaCO₂を下げる)が重要なのでNPPVが第一選択です。

軽度のPEEP様効果しかないHFNCでは、換気の改善はあまり期待できません。

なお、以下のような場合ではHFNCが有効となる可能性があります。

  • 認知症やせん妄などでNPPVが装着できない場合
  • 気胸を合併している場合で二酸化炭素の貯留が軽度でのとき

慢性期の適応

症例に合わせて選択していく必要があります。

いくつかの報告があり、総合するとHFNCとNPPVのどちらに優位性があるとは判断できません。

呼吸管理の正確性が高いNPPVと比較して、HFNCでは快適性、操作の簡便性に優位性があります。

患者の病態や要望、忍容性の他にスタッフの経験を総合して選択します。

終末期の適応 

終末期では、限られた時間の中で患者にとって必要な治療効果と快適性のバランスを保つことが重要です。

特に快適性が必要な治療効果を上回る場合に選択されます。

在宅の適応

これまで在宅で行える酸素療法は、通常の酸素療法(在宅酸素療法)と非侵襲的陽圧換気(NPPV)を含めた人工呼吸療法でした。

2022年4月の診療報酬改定で「在宅ハイフローセラピー指導管理料」が新設されました。

診療報酬が算定されたことで使用頻度が増えていくことが予想されますが、課題もたくさんあります。

  • 在宅HFNCを導入できるのは、条件を満たすCOPDの患者さんのみ
  • 在宅酸素療法と在宅ハイフローセラピーの指導管理料は、重複算定できない
  • 診療報酬の点数が低い可能性がある
  • 多量の酸素が必要なこともある

臨床では、各施設の基準やチームカンファレンスを通して適応を決定していくのね。

その通り!

HFNCの導入に重要なマニュアルを提案しておきますね。

  • デバイス(低流量・高流量酸素デバイス、HFNC、NPPV、IPPV)選択のフローチャート
  • ウィーニングのフローチャート
  • アドバンスケアプランニング(ACP)における位置づけ

HFNCの効果

HFNCの素晴らしい効果をみていきましょう。

吸入ガスの加温加湿

相対湿度100%かつ37℃の高流量酸素を投与できるので、自然に近い気道の加湿効果があります。

これにより、気道の繊毛運動、クリアランスの保持を期待できます。

正確なFIO₂

重症患者では不十分なこともありますが、適切な設定により安定したFIO₂で酸素を投与することができます。

また、CO₂ナルコーシス回避のために低めのFIO₂で管理することもできます。

鼻腔の解剖学的死腔の洗い出し

鼻腔から気管支にはガス交換に関与しない解剖学的死腔が150ml程度あるといわれています。

つまり、一回換気量を500mlとするならば、実際には350mlしかガス交換に関与していないということになります。

HFNCでは、高流量ガスが鼻腔内のエア(50ml程度)を洗い出す(ウォッシュアウト)ことで一回換気量が350mlから400mlへ増加します。

50mlの死腔減量、一回換気量増加が呼吸仕事量の軽減につながります。

軽度のPEEP(呼気終末陽圧)効果

50L/minの流量で口を閉じていると、3cmH₂O程度のPEEPがかかるといわれています。

わずかな圧ですし、開口すると圧は低下するので過度の期待はできませんが、こちらも呼吸仕事量の軽減につながると考えられます。

快適性

専用の経鼻プロングを使用するため、NPPVやIPPVと比較して快適性の点で優れています。

※IPPV(Invasive Positive Pressure Ventilation;侵襲的陽圧換気)

  • 解放感
  • 会話
  • 飲食

また、認知症、せん妄患者などNPPVマスクを装着困難な場合に使用できることも多く、忍容性が高いといえます。

操作の簡便性

これは医療従事者側のメリットですが、IPPVやNPPVと比較すると操作が簡便です。

もちろん適切に管理する必要はありますが、医療従事者のキャパシティの余裕が患者の安全保持につながることもあります。

HFNCを理解のためのコラム

HFNCを理解するためのちょっとしたコラムを用意しました。

HFNCの流量上限が60L/minの理由は?

日本の病院の中央配管ガス供給圧は、酸素や治療用空気は400kPa(=4,000hPa)と決まっています。

送気圧400kPaなら配管末端での最大流量が60NL/min以上になり、通常の気象条件下では60~70L/minとなることが理由です。

ちなみに酸素は他のガスが混ざりにくいように30kPaほど高く設定されています。

高流量デバイスは本当にFIO₂を一定にできるのか?

急性呼吸不全患者の吸気流速は30~40L/min、多いと60L/min、重症患者では瞬間的に120L/minにも達するといわれています。

つまり、急性呼吸不全患者の病状によっては、最大流量が60L/minのベンチュリーマスクやHFNCであってもFIO2が低下することがあります。

まとめ

HFNCの適応と効果について解説しました。

HFNCの基本的なことから理解できた!

たくさんの素晴らしい効果があるのね。

各施設の体制が整っていることが大切なので、マニュアルを確認してみましょう!

治療方針にかかわる意思決定の確認も大切ね。

 

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