【食物アレルギー診療ガイドライン2021】改定のポイントを解説!

看護News

食物アレルギー診療ガイドラインが改訂されました。

何が変わったの?

改訂のポイントを解説するので参考にしてください。

ぜひお願いするわ!

食物アレルギー診療ガイドラインが2021年11月に5年ぶりに改訂されました。

これまでは対象を小児に限定していました。

今回新たに、成人の食物アレルギーもカバーし、花粉やペット、動物刺咬傷、化粧品などが原因として生じる食物アレルギーに関する記載を充実させています。

本記事では、食物アレルギー診療ガイドライン2021の改定ポイントをわかりやすく解説していますので、参考にしてくださいね。

食物アレルギー診療ガイドライン2021|改定のポイントは?

今回の改定の最大のポイントは次の通り。

これまで小児を対象としていたものを、成人、思春期にも広げた点

これまでは日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会でガイドラインを作成していました。

今回は対象を小児以外にも広げるため、日本アレルギー学会の協力を仰いでいます。

その結果、成人の食物アレルギーを診療している内科、皮膚科、耳鼻咽喉科の医師の参加が実現。

加えて、外部委員として、日本栄養士会、外来小児科学会、患者会の有識者も参加しています。

今回の改定でたくさんの医師や有識者が参加したのね。

成人の食物アレルギーに追加された項目

成人の食物アレルギーとして、これまでも花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)については記載されていました。

今回追加された項目は次の通り。

  • ラテックス-フルーツ症候群
  • 動物飼育に関連した食物アレルギーであるpork-cat症候群
  • 動物飼育に関連した食物アレルギーであるbird-egg症候群
  • 動物飼育に関連した食物アレルギーであるマダニ咬傷後の獣肉アレルギー
  • 動物飼育に関連した食物アレルギーであるクラゲ刺傷後の納豆アレルギー
  • 口紅などに含有される色素が原因となるアレルギーなど

それぞれ解説していきますね。

花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)

PFASは北海道のシラカンバの花粉による感作を受け、リンゴやモモ、大豆などに対する食物アレルギーを生じるケースが有名。

本州に広く植えられているハンノキの花粉でも生じます。

ハンノキはスギやヒノキと同時期に花粉が飛散しますので、患者本人はスギの花粉症と思い込んでいるケースも多いでしょう。

生の果物を食べると口の中がイガイガするものの、果物に含まれる抗原は熱に弱く、胃液で消化されるため、症状が出るのは口腔内のみで、加熱調理した場合には症状が出ないなどの特徴があります。

例えば、生のリンゴを食べると口の中がイガイガするけど、アップルパイなら大丈夫というものです。

ラテックス-フルーツ症候群

ラテックス-フルーツ症候群は、天然ゴムラテックスに含まれる抗原に感作されて生じます。

バナナやアボカド、栗などの経口摂取で即時型アレルギー症状を呈するというものです。

pork-cat症候群

pork-cat症候群はネコ由来抗原に経気道感作されて交差反応です。

豚肉摂取時にアレルギー症状を生じます。

bird-dgg症候群

bird-egg症候群では、鳥由来抗原に経気道感作されて鶏卵アレルギーを生じます。

マダニ咬傷後の獣肉アレルギー

代表的なものは牛肉アレルギー

マダニ唾液腺中のα-Gal含有タンパク質に、牛肉アレルギー患者の血清中IgEが結合することが証明されています。

牛肉アレルギー患者は、犬を飼育していることが多いと言われています。

これは、犬の散歩の際に草むらでマダニに嚙まれている可能性が示唆されてます。

クラゲ刺傷後の納豆アレルギー

クラゲが持つ刺胞(毒針)に含まれるポリガンマグルタミン酸(PGA)納豆アレルギーの原因抗原となることが考えられています。

クラゲに刺される機会の多いマリンスポーツ愛好者に多いと言われていますね。

一方で、クラゲ刺傷歴がないにも関わらず、クラゲ摂取後のアレルギー症例やマリンスポーツ歴のない納豆アレルギー症例の報告あがっています。

PGAとは異なった抗原が存在している可能性も。

口紅などに含有される色素が原因となるアレルギー

代表的なものとして、赤い色素の原料となるコチニールがあげられます。

何が原因でアレルギーが起こるかわからないから、アレルギーへの対応を知っておくことがたいせつね。

食物アレルギーでは、さまざまな感作物質が明らかになっている

食物アレルギーの原因として圧倒的に多いのは、鶏卵、牛乳、小麦であり、患者も小児が多いです。

成人では、食物以外が原因となる食物アレルギーが少なくありません。

感作抗原が分からなければ、正しい介入は難しいので、食物以外が原因となる食物アレルギーについても知る必要があります。

最近では、小麦に迫る勢いで患者が増えているのが木の実類です。

クルミが多く、カシューナッツがそれに続いており、ピーナツによる食物アレルギーよりも多いのが現状

これは健康志向の影響で様々な加工食品にクルミが含まれるのが原因といえるでしょう。

学校給食でも積極的に使われており、給食での新規発症も増加しています。

急速に増加している食物アレルギーのため、クルミアレルギーに関しては自然歴が明らかにできておらず、注意が必要な食品です。

食物アレルギー診療にもシックデイルールがある

運動で食物アレルギーが誘発されるのは、血流が活発になるためと考えられています。

また、成人ではアルコールや入浴、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の服用でも、同様に抗原が吸収されやすくなります。

そのような際は摂取量を減らしましょう。

経口免疫療法の現状は?

経口免疫療法では摂取量を段階的に増やしますが、日常摂取量まで増やすのはなかなか難しいのが現状です。

日常摂取量まで増やせるのは、4~5年かけて6割程度という成績。

そのため「日常摂取量まで食べられるようになる」という高い治療目標の前に、「誤食対策」を当面の目標とするようになりました。

生物学的製剤(BIO)は食物アレルギー治療の選択肢になる?

数年以内に食物アレルギーの治療にもBIOが選択肢に入ってくるという予想もあります。

活用法としては、経口免疫療法と併用することで安全性を高めたり、誤食対策のために経口免疫療法の代わりにBIO単独で治療するなどが検討されています。

加えて、アナフィラキシー時に用いる経鼻アドレナリンの開発も進んでいます。

エピペンは針を刺さなければならないというハードルがありますので、経鼻投与できる製剤が実用化すれば、より使用しやすくなると期待されています。

まとめ

食物アレルギー診療ガイドラインの改定ポイントを解説しました。

環境や食生活の変化に合わせてアレルギーも変化しているのね。

全てのアレルギーを把握し発症を予測するのは当然困難です。アレルギーに対する正しい対処方法をしっておくことが大切ですね。

経鼻アドレナリンの完成が待ち遠しい!

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